地形・地質

     
地   形
 山南町は丹波山地(丹波高原)の南西に位置し、東経135度の子午線が町の東西の中心よりやや西を通過する。篠山川の河岸段丘地や加古川に注ぐ牧山川などの河川に開かれた谷中平野や山田川、金屋川などによって形成された扇状地(せんじょうち)などに田畑や街ができている。
旧金屋鉱山の岩脈
 旧金屋鉱山は、良質の高陵土(カオリナイト)と呼ばれる陶石を産し、タイルや陶磁器の原料として採掘されていた。
 その採掘現場には、断層の割れ目を充填したマグマが冷えて固まった輝緑岩の岩脱がみられる。下部幅約二m、高さは約49mの見事な山石脈で、陶石が形成された後できたものと思われる。
     
 前川状山(通称ズリ山)の柱状節理
  生野・有馬群は、約1億年前から3,000万年前に噴出した流紋岩、安山岩、凝灰岩などの岩石からなり、中に火山噴出物が厚く堆積し、それら自身の熱のために再び熔けて冷え固まり、柱状節理となった「流紋岩質熔結凝灰岩」がみられる。
 船戸橋の上流約200mの加古川左岸の山肌にその姿を露出している柱状節理は、その一例である。
     
金屋の吹き抜けパイプ様構造
(噴気孔化石)
7,000万年前のころ、火山灰によって生じた珍しい現象である。
 金屋の吹き抜けパイプ様構造(噴気孔化石)は、この水域に火山噴火による火山灰や火砕流が降り積もって水をおおったとき、高温のため水が気化してその体積が増大し、水蒸気爆発を起こして形成されたものである。

ポットホール


川代峡谷の川床には、数多くのポットホール(甌穴)がみられる。
昔の人は、亀が巣を作り卵を産むところと考えて「亀穴」と呼んでいたようである。珍しい現象であるので『丹波志』にも記されている。
凹みに石が引っかかり、水によって回転し、長い間にできたものである。
川代峡谷のいたる所でみられるが、篠場付近がもっとも多くわかりやすいものがある。

     
丹波鉄平石        
           
           
           
           
           

 

町内にみられる珍しい地層等

 

(1)古生代に堆積した古生層、古生代二畳紀(約2億4,700万年以前)に堆積
    (a)柏原層 上滝−上小倉の才坂、阿草断層より北西にかけ、柏原町田路、母坪まで幅約1kmに分布する砂岩及び砂質質の交互に重なり合ってできた地層、頁岩と分布の少ないチャート及び赤色頁岩(せきしょくけつがん)よりなる。
頁岩が主体であり、頁岩に放散虫(ほうさんちゆう)を含み、古生代二畳紀と判明した。
(b)上滝層 主として塊状砂岩(かいじょうさがん)からなり、頁岩とわずかに緑色岩を挟む。砂岩は著しく分裂して破砕岩化しているとされる。阿草断層の東から篠山市大山下にかけて幅500mに分布する。 (2)中生代に堆積した岩石
(a)中生代ジエラ紀(約1億4,300万年以前 味間層)、砂岩及び砂質頁岩の互層が整然と堆積している。川代峡谷の両岸、川を中心軸として南北約2kmの砂岩中には脈状に石灰岩を挟み、方解石化し、なかには半透明の美しい結晶もある。川床には流水によってえぐられたポットホールも多く点在し、巨岩・奇岩も多く、その間を渓流が流れ下る峡谷の実はまた格別である。
(b)中生代白亜紀(約1億年前 湖成層) 古生代二畳紀に堆積した岩石の地層が上昇し、陸地となりマントル対流に乗せられ移動した。横圧力で摺曲した地層は、窪みをつくり大きな内陸の湖を造った。
 篠山盆地では、篠山層群を角閃石安山岩火砕岩(かくせんせきあんぎんがんかさいがん)を主とする上部と、礫宕(れきがん)・砂岩・泥岩からなる下部に二分され、旧上久下村発電所や下滝・上滝付近の一辺を3kmとする正三角形状の地帯に分布する。東端は阿草断層である。
(3)中生代白亜紀後期〜新生代第三紀(約7,000万年前)に噴出した酸性火山岩類 兵庫県南部を広くおおう流紋岩・流紋岩質岩石類(りゆうもんがんりゆうもんがんしつがんせきるい)があり、さまざまな様子を呈している。山南町をおおうこれらの岩石類は加東郡社町の鴨川に発達する鴨川層、阿草を噴出の中心とする阿草層と加東郡社町平木(平木陶石鉱山)に代表される平木層の三つに分類されている。 (a) 鴨川層 加東郡社町鴨川に発達する。
 @流紋岩質及び成層凝灰岩(非熔結)。金屋の谷などに分布し、珍しいパイプ様の吹き抜け構造(噴気孔化石)もこの地層にある。
 A流紋岩熔結ガラス質凝灰山岩。金屋から岩屋、奥に至る山地に分布する。
(b)阿草層 山南町阿草付近を中心として噴出した火成山石の噴出山石。
 @黒雲母流紋岩質及び岩脈で構成されており、阿草の西方や上滝の南東に分布している。
 A黒雲母流紋岩、熔結ガラス質結晶〜結晶ガラス質凝灰岩。阿草から小川地区までの山南町全域に分布していて町内の井原・野坂・南中にみられる柱状節理はこの岩石である。篠場及び下滝地区ではこの岩石分布の周辺に礫岩及び砂岩が存在している。       B黒雲母流紋岩熔結火山礫凝灰岩。阿草から青田へかけての山々、また篠山市味問奥に至る山々を構成している。
c)平木層
 @上部 黒雲母熔結ガラス質結晶〜結晶ガラス質凝灰宕、及び火山角轢からなる。玉巻・谷川・山田などの大半の山地をおおい、高圧送電線に平行して500m西に今田向斜がある。丹波鉄平石と呼ばれる流紋岩はこの層に産出する。
 A下部 上部と下部の境に凝灰質砂岩及び泥岩が存在するところもある。黒雲母流紋岩、ガラス質結晶〜結晶ガラス質凝灰岩、及び火山角轢岩。北太田・畑内・青田・阿草から篠山市黒石へと続いて分布している。

奥野々断層


 奥野々峠付近には、流紋岩の断層鏡肌、滑り面の擦痕、断層破砕帯等がみられる。

川代峡谷と篠山川岩脈


 川代峡谷は、加古川の上流篠山川が篠山盆地に向かって切り込むように発達したものである。東西4kmのこの峡谷は、他の地にみられるような河岸段丘や段丘堆積物もない。これは、この峡谷の形成原因が他の地域と異なることを示していると考えられる。
 川代峡谷には、地層の断面に地下から上がってきた閃緑斑岩の岩脈が数多くみられる。また、大小さまざまな岩脱が存在していて、これらの岩脈は、流紋岩の噴出と関係がある。
 地層の断面にマグマから上がってきた岩脈が多数みられ、接触熟変成作用で崩壊し水路を形成した。なかには、河川

に直角にあるものは流れを堰き止めて滝をつくり、平行にあるものは母岩との間に流路をつくり川の流れに大きな影響を与えている。
上滝井堰、阿草・青田井堰、太田井堰、大河・畑内井堰は、いずれも河川に直角にある岩脈を基礎に築いてある。児ケ淵、鯉縄、水神坪、鞍ケ淵、植木は、いずれも『丹波志』(文化元年・1804四年)に記されている。

阿草断層


阿草断層は、氷上町水分れから山南町上滝、阿草を通って篠山市辰巳を経て日出坂まで約21kmを超えている。
 阿草断層の東側と西側では、分布する地質が大きく異なり、地質学的に重要な断層である。なお、上小倉から上滝まで、阿草断層とほぼ平行に走行傾斜を有する断層がある。

上滝・旧発電所付近の堆積山石


 篠山層群の堆積岩層がみられる。約1億年前の湖に堆積した層で、礫岩・砂岩・凝灰岩等の互層があり、地層学習には最適の場所とされている。
 礫岩中には、さまざまな礫を含み、石灰礫には紡錘虫の化石 (約2億8,900万年〜2億4,700万年前)もみられる。

戻る